2015.6.4

『鬼ごっこと日本』特別対談 Vol,2

羽崎泰男代表理事×野崎真弘(インターン生)

■野崎
 次に2つ目の質問ですが、只今静かなブームとなっておりますスポーツ鬼ごっこですが——

■羽崎
 静かじゃないな(笑)
 とても大きくなってきたんだよ!

■野崎
 そうなんですか!?非常に大きくなっているんですか。
 それではスポーツ鬼ごっこができるまでの経緯を教えて下さい。

■羽崎
 スポーツ鬼ごっこができた経緯というよりは、もともとは鬼ごっこそのものだよね。だから我々が小さい時は鬼ごっこはごく普通に遊びの世界で、学校だけではなくて家の近所でも、それこそこの指とまれなんて今ではやる人はいないが、昔はこういったところからスタートした鬼ごっこを結構やっていたわけだけど、私が「こどもの城」という国立の総合児童センターに関わっていたんだけど———

■野崎
 渋谷のですね。

■羽崎
 そうですね。渋谷の所にあるんだけど、そこで30年くらい前に当時の厚生省が建てた国立の大きな児童センターなんだけど、そこに厚生省の研究班があって、将来の子どもたちの中に病気ではないけど、健康でもない子ども達が出てくると言っていて、その1つにぜんそくが将来問題になるのではないかと出てきて、もう1つは肥満というものがあったの。

■野崎 
 肥満ですか?小学生で肥満ということですか!?

■羽崎 
 そうそう、子どもの肥満ね。小児肥満。子どもの肥満が出てくるのではないかということになって、それの対策をしようということになって、30年くらい前にね。それをこどもの城を通して研究や開発をしていくということで、当時4つの専門家が集まって考えていくことになってね。1つは医学的な部分、それから心理学的な部分、それから栄養学ともう1つは運動学。その運動の代表として私が出ていって、4つの専門家が集まっていろいろ考えたわけだよね。当時は子供の肥満対策の運動なんて世の中になかった。私も実はすごく苦労してね。まぁ、もともと得意でないし、運動に対して苦手意識を持っていたわけだから、その子たちに楽しく体を動かしてもらうのは難しいんだよね。そんなに簡単なことではないよね。

■野崎 
 そうですよね。本当に苦手な子は運動をしないこともありますからね。

■羽崎 
 避けて通るというところがあるわけだから。でも、そういう子たちにも運動は必要なわけで、やってもらうためにどうしたら一番いいのかということをこどもの城というところはそういうのを1つのテーマとしているところであったので、一生懸命考えてた。4、5年たぶん経ったと思うんだよね。まあ、ボールを使うとかいろいろやっていたんだけど、ある時、鬼ごっこをやってみたの。別にそんなに深い意味はなくて、ちょっと遊びとして鬼ごっこをやってみて、それは私としてはごく普通に世の中にもっともっと鬼ごっこはあるものだと思っていたから別に普通にやっていたんだけど、意外と肥満で運動を苦手にしている子ども達が雰囲気がよかったんですよ。それで、子どもたちに「普段鬼ごっこやってないの?」と聞いたら、意外とやってなかった。それで、鬼ごっこが1つのキーワードになったのね。その運動が苦手、体を動かすことが苦手な子ども達に動かしてもらうための1つの手段として鬼ごっこがあったのね。それで、鬼ごっこをいろいろ調べていって、いろいろやっていったわけね。だけど、鬼ごっこって役割によって動かなかったり動いたりっていうのがあって、肥満の子ども達の場合には非常にモチベーション高くして、みんな体を動かすということが大事でね。それにはということで、いろんな工夫をしていってスポーツ的にしていく方がモチベーションというものが高まるし、体を動かすということができるのではないかということで、従来の遊びの鬼ごっこからスポーツ的な鬼ごっこに変えていく。その過程で鬼ごっこの中で陣取り系の鬼ごっこ、陣取り鬼ごっこというものがあってね。“Sケン”だとか“ひまわり”というね。これがチーム戦なんだよね。我々よくやってたんだけど。Sの字を書いて、相手の陣地に行って置いてある宝をとってくる。その過程にはいろんな戦いがあるんだよ。

■野崎
 戦いですか?

■羽崎
 うん。ケンケンで向こうの陣地に行くだとか、どこかでケンケンの時に戦うとか、相手の陣地に行ってそこで相撲みたいなことを行うだとか。そういう陣取り系の鬼ごっこというのがあってそれを利用してスポーツ的にしていこうというのがあったんだけど、でも今のスポーツ鬼ごっこは陣取り系の鬼ごっこを軸にしてよりスポーティに考えた。それで誰もがモチベーションが高まるということとみんなが動くことができるけど、一方で鬼ごっこに大事な役割みたいなものが中にちゃんと含まれている。まぁ、いろんなことを考えながら作ってきたというのがスポーツ鬼ごっこの経緯かな。だからもともとは肥満の子どもの改善のための大きな手段として考えてきたというのが正しいかもしれないですね。

■野崎
 今では誰でもやっていますが、元々は肥満の子ども達に対しての運動をどうやってしてもらうかの手段だったと———

■羽崎
 そういうことですね。改善をするための手段としてやったのがスポーツ鬼ごっこであると思っていただいていいかなと思いますね。

■野崎
 はい、わかりました。

次回に続く

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