2015.4.23

『鬼ごっこと日本』特別対談 Vol,1

羽崎泰男代表理事×野崎真弘(インターン生)

■野崎
 みなさん、こんにちは!Onigokko Newsインタビューです。司会を務めます野崎です。本日のゲストは城西国際大学福祉総合学部教授であり、一般社団法人鬼ごっこ協会代表理事を務めております羽崎泰男さんです。よろしくお願いします。

■羽崎
 よろしくお願いします。
今日が初めて?

■野崎
 はい。

■羽崎
 元気にがんばるのでよろしくお願いします。

■野崎
 さっそく1つ目の質問ですが、鬼ごっこの起源はいつですか?
 
■羽崎
 鬼ごっこの起源は諸説あるんだけど、例えば“鬼やらい”や“ついな”などは、平安時代に中国から伝わってきて、宮中行事などでやっていてそれを子どもが見ていたりして伝わってきたと言われています。ただ、私的には鬼ごっこには伝説があると思っていてね。鬼ごっこの伝説というものがあるというのはよく民俗学者や鬼ごっこを研究している学者の間では言われているんですよ。それは“ことろことろ”というもので、ことろ伝説というものであるけれど、私は“鬼やらい”や“ついな”からきた、今でいう一人鬼よりはことろ伝説から来た“ことろことろ”が起源だと思いたい。ただし、鬼ごっこの起源には諸説あり、人それぞれの意見があっていいと思うが、私はいわゆる伝説と言われて、資料がたくさんあって、いろんな人たちが関わってきた“ことろことろ”が起源だと考えています。

■野崎 
 “ことろことろ”とはどんな鬼ごっこですか?

■羽崎 
 “ことろことろ”は鬼ごっこ協会にも将来に伝えていってほしいと思っている伝承的な鬼ごっこです。鬼がいて、もう1人逃げる立場の人を何と言ったか知ってる?

■野崎 
 逃走者ですか?(笑)

■羽崎 
 実はこれは大事なことで、世界中でも逃げ手に関しては子どもなんですよね。だから鬼と子というのが一般的な鬼ごっこに登場する役割を持ったものなんだけども、“ことろことろ”というのはそれにプラスして親が出てくるんですよね。つまり、鬼がいて親がいて子がいるという3つの役割が出てきて鬼ごっこの中では珍しいものなんですよね。(遊び方は)鬼がいて、列に並んで先頭に親がいてその後ろに子がいて、鬼が一番後ろの子を捕まえに行くのを親が防ぐという独特な鬼ごっこなんだけども、鬼ごっこの中でも唯一に近いくらい捕まえる相手が決まっていて一番後ろの人しか捕まえられないという鬼ごっこです。これも諸説あって地蔵菩薩信仰から来ていて、昔、僧侶が地蔵菩薩の言っていることを伝えるためにこの形をつくったと言われています。地蔵菩薩が親の代わりで守って、地獄から追いかけてきた子ども達を追いかけてくる鬼を防いでいくみたいな。

■野崎
 子を守るんですね?

■羽崎
 うん、そういうところからきているという話もあれば、そうではなくてこの鬼ごっこは全世界にあるもので―――

■野崎
 全世界にあるんですか!?
アジアであったり、アメリカであったり―――
 
■羽崎
 アメリカはないかな(笑)

■野崎
 アメリカはないですか(笑)
 
■羽崎
 アメリカはまた違う形になっているんだけど、ヨーロッパにはあるし、特にアジア地区というか稲作地域には非常に多いと言われていて、日本は鬼なんだけど世界的にはオオタカ、ワシ、オオカミ、キツネなどが日本でいう鬼の役割になっています。親の役割はお母さん鳥、子は小鳥で、鳥をオオタカなどが捕まえに行くっていうね。そういう発想で全世界に実はあります。だから、日本は地蔵菩薩信仰からきたと言われているが、一方で伝説的になっているのは全世界に自然派生的にそういうものが出てきたのではないかというところがありますね。そういうところを含めると伝説的な要素があるんですよね。要するに、ぜひ調べて伝説の伝説たるゆえんを見つけてもらえるといいかなとおもいますね。面白いですよ。
 
■野崎  面白いですか。今の鬼ごっこですと、鬼がいて逃げる人がいてというように2つの役割しかないですが“ことろことろ”は鬼と親と子という―――
 
■羽崎
 そう、3つの役割が出てくる非常に珍しい鬼ごっこですね。
 
■野崎
 最近ではなかなか聞かない鬼ごっこですので、やってる人はそれほど多くないと思いますが―――
 
■羽崎
 そうですね、昔はやってたんですけどね。だけど今はだんだん伝わってきてないからぜひ我々の力でそれを伝えていきたいと思いますね。
 
■野崎
 “ことろことろ”を普及させていきたいと考えているということですね。

次回に続く