2018.5.29

『オニ文化コラム』Vol,38

 
山崎 敬子
コラムニスト
玉川大学芸術学部講師

オニ文化コラムを続けて幾年月。ふと振り返りますと、やはり日本の鬼退治といえば「桃太郎伝説」だなあと改めて思います。そんな桃太郎伝説が、このほど文化庁により日本遺産に認定されました、という嬉しいニュースが飛び込んでまいりました。
文化庁が5月24日に発表した「平成30年度『日本遺産』の認定結果の発表及び認定証の交付について」というリリースによると、岡山県内からは「『桃太郎伝説』の生まれたまち おかやま~古代吉備の遺産が誘う鬼退治の物語」(岡山、倉敷、総社、赤磐の4市)が新たに選ばれております(※認定自体は全国から13ほど)。鬼退治が日本遺産に~!
「桃太郎伝説~(以下略)」は27の文化財でストーリーが構成されております。同伝説の鬼、温羅(うら)の居城として門などの復元が進む30ヘクタールの巨大山城「鬼城山」(鬼ノ城=総社市)や、桃太郎を意味する吉備津彦命(きびつひこのみこと)が温羅との戦で築いたとされる墳丘墓「楯築遺跡」(倉敷市)、吉備津彦命をまつる「吉備津神社」「吉備津彦神社」(岡山市北区)、ともに5世紀の造営で、吉備の勢力を誇示する巨大前方後円墳の「造山古墳」(同区)と「両宮山古墳」(赤磐市)・・・など。この他に、伝説には欠かせない桃やきびだんごもストーリーに盛り込んでいるというのが、個人的には嬉しい♪山陽新聞さんの記事によると「誰もが知る昔話と地域の歴史的背景を結び付け、分かりやすく国内外への発信が期待できる点」が評価されたとのことです。
誰もが知っている岡山の伝説「桃太郎」・・・一方で、これは古代吉備の繁栄の物語りでもあります。学校などで教わる日本史の教科書には出てこない歴史かもしれませんが、しかし確かに古代の岡山に存在した歴史なのです。
ちなみに。
吉備津神社境内では「矢置岩」や新春恒例の「矢立の神事」、鬼の首を埋めたという「御釜殿」など。また鬼面、鬼退治を記載した「吉備津宮勧進帳」が25日から県立博物館(同区)で公開されております。こちらも是非♪
桃太郎伝説自体は香川県や山梨県などにも有名なものが存在しますので、興味ありましたら是非調べてみてくださいませ♪

山崎 敬子 / Yamazaki keiko

玉川大学 芸術学部講師
早稲田大学メディア文化研究所 招聘研究員
小田原のまちづくり会社「合同会社まち元気小田原」業務推進課長


民俗芸能しいては日本文化の活性を目指し中心市街地活性化事業に取り組んでいる。
元広告業界専門新聞編集長であったことから日本ペンクラブに所属。
現在、広報委員・獄中作家委員などに名を連ね活動している。
(社)鬼ごっこ協会会報などでコラムを担当
所属学会:民俗芸能学会・藝能学会・日本民俗芸能協会ほか