『鬼ごっことコミュニケーション』

2015年4月16日(木)
羽崎泰男(鬼ごっこ協会代表理事)×宮原哲(同協会理事、西南学院大学教授)
特別対談 Vol,3

■宮原
もちろん、言葉を使ったコミュニケーションは大切です。その前に、自分という感情を見てみたときに、自らがわかっている人ということも考えられるのだけれでも、自らのわけまえと言うことを考えたとき、相手がだれによって、ここまでが自分の分け前であって、ここから先に入ってはいけないとか、相手がもっと親しい人になったら、お互いどんどん出し合うとか、こういう風な自分の居場所というのか、自分の領分というのか、そういったものをわきまえていくことによって、みんなの元気になっていくと思うんですよ。


■羽崎
まあ、逆に言うと、そういうこと自体が滑らかな状態になっていくということが、だんだん良い状態になっていくということですね。


■宮原
だから、最初からそういう状態になっているわけがない。自分たちでそれを築いていかなければな。らないものです


■羽崎
そうすると、コミュニケーションというものは、そういうの全体のトータルをコミュニケーションというのですね。そうなると、また非常に抽象的な世界になりますね。


■宮原
鬼ごっこと言うことを、コミュニケーションというか、人間の成長のプロセスの一環として考えるならば、非常に優れた物が隠されていると思うんですね。例えば、ルールを決めるとか、社会規範力ですよね、それから、自分の好き勝手なことばかりできないということ、自己抑制とか、それから、仲間と協力するとか、そういった社会化、しつけというのが全部含まれている。そして、道具がいらない、優れたゲームだと思いますね。


■羽崎
サッカーの話から鬼ごっこに変わりましたけど、鬼ごっこはもっとシンプルな状態で、鬼ごっこのよさというものは、私なりに考えるコミュケーションと言ったときに、他のスポーツと鬼ごっこの違いというのは、道具を扱うということがないこと、これはものすごい違いがあると思います。ようするに、サッカーだとボールを蹴ってパスを繰り返しているのだけど、鬼ごっこはそういうことがない。ある面ではかなり直線的なつながりがなかに生まれてくるんです。コミュニケーションと言うのを考えたときに、良い意味では直線的で直接的で強烈なものになる。悪い意味だと、強いコミュニケーションが展開してしまう。実際に、鬼ごっこの中で、我々がやっているスポーツ鬼ごっこでは、どっちが先に宝をとるか、非常に戦略的な攻防があります。人間が直接的にやるんで、例え、ば、おとりを使うだとかあっち行け、こっち行けだとか、言葉がすごく出てくるんですね。言葉という物だけではなくて、鬼ごっこの中に生まれてくる環境の中に、言葉以外のものが考えられるものっていうのは。何かあるかな


■宮原
鬼ごっこの『ごっこ』の部分を考えてみたときに、鬼って言う動物は、空想上の動物な訳ですよね。で、普段自分が何かになれない物、お医者さんゴッコだとか、自分が医者ではないことを医者だったらどういうような気持ちになるのか、を体験してみるということですよね。ただ、空想の中で、頭の中で、もし自分が追われる立場になったら、追う立場になったら、だれかを捕まえる立場になったら、そういうことをたくましくしています。そのことによって鬼ごっこということが成り立っていると考えるならば、これは人間にしかできないことなんです。頭の中で自分自身の中でコミュニケーションをして、コミュニケーションするっていうことは、言葉とイメージをつなぐことによって、もし自分がこうだったら、こんなになるんだろうな、ということを想像できるのは人間しかできないんです。


■羽崎
そうすると、宮原先生が一番大事なところっていうのは、コミュニケー、ションの背景というのは鬼ごっこというイメージそのものがコミュケーションをつくりだす一つの要素になっているということですね。ほかになんかあるかな。我々がコミュケーションというのをとるときに、動きを作り出すのにはどうしても言葉って言うのが必要でね、背景がどうのじゃなくて、直接的な言葉というのが非常に大事なことになってきます。コミュケーションとは違うのかもしれないけど、近くで言葉のやりとりをするのと、遠くからやりとりをするっていう部分というのは、コミュケーション的な発想で言うと、なにか違いがあるんですか。


■宮原
近くで作戦を練って戦略をみんなで考えても、チームの中で共有しておかなければ、遠くで離れてしまったときに、「ほらさっき言ったことを忘れてるだろ!」ってなってしまいますよね。


次回に続く…

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