『鬼ごっこと日本』

2015年6月25日(木)
羽崎泰男(鬼ごっこ協会代表理事)×野崎真弘(鬼ごっこ協会インターンシップ生)
特別対談 Vol,3

■野崎
 それでは3つ目の質問に移りたいと思います。先程、スポーツ鬼ごっこの経緯を説明していただいたのですけれど、今度はスポーツ鬼ごっこを作る上で苦労したことや気をつけたことを教えていただきたいと思います。


■羽崎
 まず、1番大事なことは何かというと、鬼ごっこという遊びから発展してきたという考え方なのね。遊びとスポーツの違いというのは1番わかりやすいところで言うと、遊びは審判がいない。


■野崎
 はい。


■羽崎
 遊ぶ子供たちが全部やるんだよね。自分たちが審判になったり、自分たちが遊んだりしてね。だけどその代わり、スポーツは審判がいなければスポーツにならない。ある意味ね。だから遊びの域を残すには審判をあまり使いたくないし、作りたくない。逆に言えば、審判がいなくてもできるような———


■野崎
 自分たちで判定できるような———

■羽崎
 うん、そういうレベルのルールでやっていくのが本当はベストなのね。だけど、スポーツにしていこうと思ったときには審判のレベルを要求されるようなものでなければダメなのね。そこがもともと肥満の子供たち、あるいは運動が苦手な子供たちが楽しんで出来るスポーツというふうに鬼ごっこを発展させてきたときにそこで最も悩んだのが審判がいなくてもみんあのジャッジだけでできるようなルールに、レベルにしていくか、審判をちゃんと作って非常にスポーツ的な要素にしていこうか、ここがすごく悩んだね。


■野崎
 遊びかスポーツか、どちらかにしようかという———


■羽崎


うん、そうそう。俺が考えてたように遊びからスポーツという考え方が非常にあったんで、どこのところにスポーツ鬼ごっこの位置を置くかと、スポーツ鬼ごっこのルール作りをするうえでまず最初に一番基本的なことなんだけどそれがものすごく悩んだね。でも最終的にはスポーツ鬼ごっこで非常にスポーツというものと、そこまでの過程の中にルールを作っていけばいいんじゃないかというのがあって、まずとりかかったのがスポーツとしてのスポーツ鬼ごっこ、スポーツとしての鬼ごっこをきちっと作って、世界だとか、誰もがきちっとしたルールの中で、その方がモチベーションも高まるし戦略性も高くなるだろうし。やっぱり今の子ども達はスポーツに特化してるからスポーティの方がいいんですよね。むしろね。

■野崎 
 今はむしろスポーツの方が———



■羽崎 
 そうそう。あまり遊びだとすぐ飽きちゃうからね。だから調べて———


■野崎 
 スポーツだと長く続けてもらえるという———


■羽崎 
 中学生、高校生、大人でも続けていけるかもしれない。鬼ごっこは小学校1年で終わっちゃうかもわかんないけど、もっと先までできるようなものと考えた時にスポーツとしての鬼ごっこをまず作る。これがね、ものすごく悩んだんだけど、これを決めてから早い。いかにアトラクティブというか、魅力的なものにするかということを考えながらやってきましたね。それで一番大事なのはコートを作ることで、コートをまず作る。一番最初は体育館の中でバスケットコートの真ん中にセンターラインがあるからそれを軸に向こうのコートに行ってタッチをされたら戻るっていうルールだけでお互いに最初は———


■野崎
 最初はそれだけで———



■羽崎
 それだけ、それだけ。今は色々あるんだけど、一番最初は周りのコートっていうサイドライン、エンドラインがなくて体育館全部がコートだったの。センターラインだけバスケットのセンターラインを使って、両サイドの所に、これもたぶん最初は場所が分からなかったからバスケットのフリースローサークルの真ん中に置いたと思うよ。フリースローサークル関係ないんだけど。場所同じ位置にするという意味でそこに雑巾を置いて、その雑巾を———


■野崎
 取り合うという———


■羽崎
 そうそう、どっちが先に取れるかね。最初はね、どっちが先に取れるかだったの。

■野崎
 どっちが最初に取れるか?


■羽崎
 だから1回で終わっちゃうっていう考え方。


■野崎
 そうですよね。


■羽崎
 今みたいに得点がどうのこうのじゃなくて、どっちが先に取れるかだけをやったの。それを取ったら1回それでおしまい。


■野崎
 そこで1度切れて———
■羽崎
 交代してやるだとか。だけど早いんだ。タッチをしていいと言ってもタッチをする奴なんてないんだ。


■野崎
 用意スタートといったらお互いにばーーーっと———


■羽崎
 そう。徒競走みたいに。


■野崎
 競走で———


■羽崎
 お互いに走っていったって見向きもしないんだ


■野崎
 自分も行こうと———


■羽崎
 そういうところからスタートしましてね。だけどやっぱりそういう中にサッカーをやってたりだとかスポーツをやってる子がいるんだよ。1年生や2年生の中にも。そしてそいう子達が最初に来た1人か2人くらいをタッチするわけだよね。そういうのが出てくるんだよ、やっぱり。


■野崎
 やっていく中でだんだんとそういう子が出てきてという———


■羽崎


そう、そうすると1人目2人目が一生懸命来るんだけどとれないんだ。そのうちにとる子が出てくるというようなことからいわゆるセンターラインでタッチをされた後のものっていうのが非常に有効な状態になってくる。あるいはサークルも、雑巾だったので雑巾の上に座っちゃう子もいたんだよね。


■野崎
 今では入ってはいけないけども———


■羽崎
 昔はそういうのがなかったから雑巾を持って走って逃げていっちゃう子が多かったんだよ。本当に多い。1、2年生はルールなんて何も考えてなかったから。だからルール作りで何がすごく大事かっていうと、他のスポーツでもそうなんだけど、実際にそれをやってる人間がルール作りを後押ししてくれる。そういう子が出てきたために、ここに入ってはいけない部分を作ろうとかね。あるいはその鬼ごっこの場合には安全地帯が大事だとか戦略性を持った時にはこうだとかということで、セーフティエリアを作ろうだとか。やっぱり昔は子供たちだったんだけど、子どもたちがそれなりに自分たちで工夫していってそれを上手にルール上に活かすにはどうしたらいいかということをやっぱり考えていったかなぁ。やっぱりルールの中で一番気をつけたというか一番大切なことだと思いますね。最近はスポーツ鬼ごっことしてだんだんスポーツとして確立してきているからすごいアスリートがいるから、スピードもあるし戦略性もあるし、(レベルが)高くなっていくんだよね。


■野崎
 レベルが上がってきたという———


■羽崎
 そうそう。そうするとその戦略などがもっとやりやすい状態にするにはどうしたら良いか、あるいは危険性はどうか、スピードがあって非常にハードになってくると危険性を取り除くためにはどうしたら良いか。でもアトラクティブな魅力的なものをどうやって残すかというようなところに入ってきていますね。だからルール作りで一番大事なのはやってるプレイヤーがルールを作る非常にキーになってる。それを見逃さないで作り手の方は考えていくということが最も大事だし、そこに最も気を付けているということですね。そんな感じかな。


■野崎
 ありがとうございました。


次回に続く

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