『オニ文化コラム』Vol,21

2016年12月22日(木)
コラムニスト 山崎 敬子(玉川大学芸術学部講師)

2016年、年内最後のオニ文化コラムです。
ところで、「鬼」といえば誰を思い出しますか?
節分の「鬼は外 福は内」で豆攻撃を食らう鬼でしょうか。それとも地獄の鬼でしょうか。今回は「童子」と呼ばれる鬼に注目したいと思います。大江山の鬼・酒呑童子が有名です。

時は平安の頃。大江山に暮らす酒呑童子は、茨木童子をはじめ多くの鬼を従え、京都に現れては悪行三昧だったため、時の帝の命により源頼光と渡辺綱を筆頭とする頼光四天王(渡辺綱、坂田公時、碓井貞光、卜部季武)により討伐隊が結成され、討伐された・・・という伝説があります。
そんな鬼退治伝説がありますが、鬼=童子という訳ではありませんが、稚児(童子)姿のまま、成人の儀式をきちんとできず子供姿のまま大人になった姿の鬼も居たのかな?とも言われます。結果、鬼が童子と呼ばれるケースがあったのかと。諸説ありますが、単純に酒呑童子の髪型だけで考えると、髪を結わえない大童(おおわらわ)の姿だから、まあ在り得るのなか?と思います。

さておき、前回、オニの語源は「隠(オン)」。普段は山の中など他界に居て見えない存在であり、節目に姿を現す・・・そんな語源についてお話させていただきました。
そんな「隠」的な童子が、京都市左京区八瀬に実在します。『八瀬童子(やせどうじ、やせのどうじ、はせどうじ)』です。
 
酒呑童子が「朝廷に逆らう鬼」だとすれば、八瀬童子の方々は「朝廷に仕える鬼」。
平安時代より八瀬に暮らし、比叡山や天皇家と関わりを持つ彼らを目にする機会は、非常に限られています。
彼らは天皇が崩御された時、その棺を担ぐ役目をもちます。彼らの存在がメディアで大々的に報じられたのは昭和天皇の大葬の時でした。警備の問題で皇宮警察が行事を仕切るという流れになりかけた時、八瀬童子の方々が抗議をしたことが報道され、その存在が認知されました。そう、天皇の葬儀の時にしか目にすることが無い存在なのです。
 
そんな彼らは自分たちを「鬼の子孫」とも称します。延暦寺との関わりからの伝承らしいですが、紙面の都合でここは割愛します。
 
今回は「童子」と呼ばれる鬼について紹介させていただきました。皆さま、よい年越しを。

プロフィール

山崎 敬子 Yamazaki keiko

玉川大学芸術学部で民俗芸能の講師
早稲田大学メディア文化研究所で招聘研究員
小田原のまちづくり会社「合同会社まち元気小田原」業務推進課長
民俗芸能しいては日本文化の活性を目指し中心市街地活性化事業に取り組んでいる。
元広告業界専門新聞編集長であったことから日本ペンクラブに所属。
現在、広報委員・獄中作家委員などに名を連ね活動している。
(社)鬼ごっこ協会会報などでコラムを担当
所属学会:民俗芸能学会・藝能学会・日本民俗芸能協会ほか

◯生年月日:1976年3月29日◯血液型:O型◯出身地:香川県◯学歴:実践女子大学大学院修士◯趣味:プロレス・格闘技観戦◯著作:『年中行事辞典』(東京堂出版)編集委員として、『メディアの将来像』(早稲田大学メディア文化研究所)共同執筆 ほか

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