『鬼ごっこのまち物語り』Vol,1

2015年4月30日(木)
中島 智
東京立正短期大学現代コミュニケーション学科講師


「スポーツ鬼ごっこ」と出会って早1年…。伝承遊びを復活させ、その可能性を広げていく活動は、地域のまちづくりや観光に直結するという予感が、実際に競技を体験したり学生とワークショップに参加したりするうちに、確信に変わっていった。


 これは私に限ったことではない。「単純な動きこそ奥が深いと思った」「地域のお祭りで活かせそう」。鬼ごっこをした学生の顔はほころぶ。しかし実は彼ら、コミュニケーションに自信が持てない現代っ子でもある。一方で、若者のコミュニケーション力の低下が嘆かれてもいる。それが本当かどうかはともかく、まことしやかに語られる状況は核家族化や地域の遊び場の減少といったコミュニティの変容と軌を一にしている、といえるだろう。


 コミュニケーションとコミュニティを別々に扱う向きもある。だが、両者は接頭辞(com共に)が示すように密接に関連している。むしろ、温かで開かれたコミュニティを紡いでいるのは、ゆるやかな絆の意識である。東日本大震災で冷静に助け合う被災者の姿が外国メディアによって称賛をもって報道されたことは記憶に新しい。普段の親子関係しかり、人のつながりの形は変わっても、その本質は変わらない。


 3.11で見直された絆と同じようにコミュニケーション力は、“デキる人”になるためのスキルというよりも、“我ら共有の未来”に向けたコミュニティづくりへのエネルギーというべきだろう。そのエネルギーを育むあそびの筆頭が鬼ごっこなのだと信じて疑わない。

プロフィール

中島 智 Nakajima Tomo

東京立正短期大学現代コミュニケーション学科講師。
1981年滋賀県生まれ。文化政策・観光学を専攻し、地域文化と観光などに関する教育・研究に取り組む。暮らしを誇れる地域の実現をめざし、すぎなみ地域大学(杉並区)などでも活動中。「知る前に感じる」「動きながら考える」「遊ぶように生きる」ことを学生たちと実践している。共著に『観光を学ぶ』(八千代出版、2015年)、『観光文化と地元学』(古今書院、2011年)など。

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