『鬼ごっこのまち物語り』Vol,3

2015年6月25日(木)
中島 智
東京立正短期大学現代コミュニケーション学科講師




「今度、大学で鬼ごっこサークルを立ち上げるのです」―これはいつ・どこで聞いた言葉か。もちろんフィクションではない。が、たぶん5年前なら、考えられなかったことだろう。「鬼ごっこのある町づくり」に取り組む鬼ごっこ協会が設立されたのは、5年前のことである。この5年間の日本の動きは目まぐるしい。頻発する自然災害は人口減少社会を直撃している。一方で、2020年東京五輪の開催が決定されたりもした。そのことをめぐっては様々な賛否の議論があることを承知しているが、暮らしの場に目を向けつつ考えてみたい。


いつまでも悲しみに暮れているわけにはいかない。涙を拭いて、笑って暮らすことがこの世に生きる者の宿命だろう。私たちが日々働き、学び、遊び、そして子どもたちが人間として成長していく地域という場をいかに豊かにしていけるのか。1964年の東京五輪は新幹線や道路、空港といった社会基盤を整備し、大量生産大量消費の社会システムをつくる契機となったが、2020年に向けては豊かな人間関係を育む信頼やネットワークといった社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)を醸成し、ひとり一人が当事者となれる地域コミュニティをつくる必要があるのではないだろうか。まさに鬼ごっこの出番だ。


実は冒頭の言葉は、先日、スポーツ鬼ごっこの指導員・審判員3級研修会に参加した時にある大学1年生から聞いたのだった。彼がスポーツ鬼ごっこに興味をもったのは受験を控えた高校3年の頃、部活を引退した直後でもあり、からだを動かそうと、すぐに地域支部(※1)に問い合わせたという。そういう時代なのである。今やスポーツ鬼ごっこは地域や自治体、学校、企業などで確実に広がり、笑顔の鬼ゴッターポーズ(写真)は列島を、いや世界を席巻しつつある。
鬼ゴッター(※2)の面目躍如である。


※1地域コミュニティの活性化と発展に活動することを主たる目的とし、担当地域でのスポーツ鬼ごっこの普及 推進を行う公認組織のことをいう。
※2鬼ごっこが大好きで、世界に広めていく仲間のことをいう。

プロフィール

中島 智 Nakajima Tomo

東京立正短期大学現代コミュニケーション学科講師。
1981年滋賀県生まれ。文化政策・観光学を専攻し、地域文化と観光などに関する教育・研究に取り組む。暮らしを誇れる地域の実現をめざし、すぎなみ地域大学(杉並区)などでも活動中。「知る前に感じる」「動きながら考える」「遊ぶように生きる」ことを学生たちと実践している。共著に『観光を学ぶ』(八千代出版、2015年)、『観光文化と地元学』(古今書院、2011年)など。

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